
映画の中で、私が目を奪われたのが深津絵里のもんぺ姿。田舎道を歩くキリっとした姿は、本当に美しかった。このもんぺ衣装、監督は「主演女優にこれはないだろう」と反対したそうなのですが、衣装さんが絶対にこれでいきたいと監督に言ったそうです。「せめてシャツをインするのはやめたら」と言っても、衣装さんは「シャツイン」の意見を曲げず、ベッドシーンでもシャツを出さずに上手に脱がせてください、とお願いしたそう。監督は、衣装については強いこだわりがなかったので、とりあえずやってみようかと撮影すると、とても良かったので反対した自分が浅はかだったと言っています。なるほど「シャツイン」のこだわりが、あの美しさを引き出したのかと納得。
それから、二人のベッドシーンがクライマックスにあるのですが、監督は「やりたくなかった」と。プロデューサーがどうしても入れてくれというので、ウディ・アレンの「それでも恋するバルセロナ」のスカーレット・ヨハンソンとハビエル・バルデムみたいにしてとだけ言って、あとは俳優に任せて演出しなかったそうです。60歳黒沢監督、ベッドシーンを拒否。怖いシーン、殺人シーンならできるけど、ラブシーンはこわごわだったと素直に言えるのは、これまでの経歴があるからでしょうね。プロデューサーが言うから入れたけど、俳優に任せたよとはなかなか普通は言えないと思いますが、黒沢監督って面白い人だなあと。
本って、映画って、本当に楽しいし、それを語るのも楽しいですね。「岸辺の旅」のブルーレイ&DVDは2016年4月20日に発売・レンタル開始です!
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