
神戸市東灘区を流れる住吉川。朝のランニングの途中でカルガモの親子に出会った。この住吉川では、毎年春にカルガモの赤ちゃんが生まれ、下流近くで可愛らしい親子の様子が見られる。この日も母ガモの後ろを7匹の子ガモがついて泳いでいた。先頭の子ガモは、母ガモのやる事をそばからすぐ真似をしてついていく。すると他の子ガモも前にならってついていく。そうして自然と列になって進んでいく。と、母ガモがすいーっと流れに逆らって泳ぎ、ジャンプして1段上がった。
子ガモ達もついていこうとするが、水の流れるその段差は子ガモ達にとってはちょっとした滝のように感じるのだろう、近づくことすらできない。流れの少ないところを探してチャレンジしようと子ガモ達は必死だが、小さな体では水流に負けてしまう。その様子を母ガモは子ガモ達から少し距離をおいた段上から見守っている。声も掛けずに、心配して近寄ることもせず、ただじっと見守っているのだ。
2分近くそうして段上から待っていたが、今の子ガモ達にはまだ無理だと判断すると、静かに段を下り、また散歩を始めた。
子供が何かにチャレンジしようとする時、失敗する可能性が高い時、この母ガモのように何も言わずに見守り続けることをしてきただろうか。先回りして声をかけるようなことをしてこなかっただろうか。思わずランニングの足を止めてじっと見入ってしまった、愛情溢れる母ガモの姿だった。