
”お上に頼るのではなく自分たちの力を世界に見せつけよう”ー明治の職人たちの声がひしひしと伝わってくる。
明治維新、政府主導のもと殖産産業を推し進めることになった日本。東京に遷都となり、人口が激減した京都。
そのため技芸の継承と発展のため、京都府画学校を成立。今回の展覧会は京都府画学校の卒業生をはじめ全国の優秀な工芸品を190点ほど展示。
教鞭をとるため来日したトーマス・B・ブロー氏の美しい絵皿も目が離せない。
西洋の色鮮やかな技法と和の婉曲の技法の素晴らしい組み合わせだ。

トーマス・B・ブロー《花蝶図輪花皿》明治~大正時代 陶、色絵金彩
世界に負けじと伝統を踏襲し、西洋の技法を会得、更にリスクをとる挑戦的な手法で果敢に取り組んでいった職人たち。
見ているだけで、その細部にわたる緻密な模様と大胆なデッサンがわかる。
下記の飾器の土台の龍の接着点はごくわずか、絶妙なバランスで立っている。

武蔵屋大関《金蒔絵芝山花鳥図飾器》明治時代 芝山細工、銀、朧銀、金、赤銅象嵌 京都国立近代美術館
持ち手の局部にも敢えてリスクのある装飾を試み色をつける。今まで平坦な線や無地ですましていたところに敢えて模様をつけ最大限の装飾を施す。

深川栄左衛門『温知図録』第4輯 陶磁器部8 明治時代 紙本着色

川本桝吉(初代)《釉下彩切子形花瓶》明治14年(1881)磁器、釉下彩 瀬戸蔵ミュージアム
大胆な発想が生まれ、陶器の手法で灯籠を作成。その美しい模様の流れにしばし時間を忘れた。

加藤杢左衛門 《染付花唐草文大灯籠》明治時代前期~中期 磁器、染付
個人蔵(瀬戸蔵ミュージアム寄託)

都路華香 《水底游魚》明治34年(1901)絹本着色 京都国立近代美術館
掛け軸にも水彩画技法を取り入れ、背景の色合い、デッサンに西洋の様式を入れている。

竹内栖鳳 《羅馬古城図》明治34年(1901)絹本墨画淡彩
京都国立近代美術館
この他に作者不詳の「桜に孔雀図刺繍壁かけ」は圧巻だ。屛風にその名の通り刺繍で美しい羽を広げた孔雀が2羽刺してある。絨毯やパッチワークでは緻密な重ね作業だが、この刺繍は屏風に掲げるとあって精巧さと大胆さが問われる。糸とめの跡が見えないことに驚いた。
そして明治維新から6年後には(1873年)にはウィーン万国博覧会に正式に参加するまでになる。
世界中から日本の工芸品へ高い関心が集まることになった。日本は世界列強諸国の仲間入りとなった。
観たことの感動により次に繋がるものがでてくる。ぜひ次世代にものづくりの魂を継続してほしい。

- 京都国立近代美術館
- <キョウトコクリツキンダイビジュツカン>
- 京都市左京区岡崎円勝寺町
- HP:http://www.momak.go.jp/
開館時間 | 開館時間 通常時間 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで) 夜間開館 毎週金曜日、土曜日 午前9時30分~午後8時(入館は午後7時30分まで) *7月6日(金)~10月6日(土)の金曜日、土曜日は、午後9時まで開館 (入館は午後8時30分まで) |
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アクセス | JR~バスをご利用の方 ■JR・近鉄京都駅前(A1のりば)から 市バス5番 岩倉行 「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ ■JR・近鉄京都駅前(D1のりば)から 市バス100番(急行)銀閣寺行 「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ 阪急電鉄・京阪電鉄~バスをご利用の方 ■阪急烏丸駅・河原町駅、京阪三条駅から 市バス5番 岩倉行 「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ ■阪急烏丸駅・河原町駅、京阪祇園四条駅から 市バス46番 平安神宮行 「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ 市バス他系統ご利用の方 「岡崎公園 ロームシアター京都・みやこめっせ前」下車徒歩5分 「東山二条・岡崎公園口」下車徒歩約10分 地下鉄ご利用の方 地下鉄東西線「東山」駅下車徒歩約10分 ※ご不明な点がございましたらテレホンサービス (075)761-9900 までお問合わせください。 |
観覧料
企画展の観覧料は各展覧会によって異なります。
尚、企画展の観覧券でコレクション・ギャラリーもご観覧いただけます。
※学生・教職員の方は国立美術館キャンパスメンバーズのページをご確認ください。
「明治150年展 明治の日本画と工芸」
2018年3月20日(火)~ 5月20日(日)
当日 団体(20名以上) 夜間割引
(金/土曜 午後5時以降)
一 般 1,000円 800円 800円
大学生 500円 400円 400円
※ 高校生・18歳未満は無料。
※本料金でコレクション展もご覧いただけます。
企画展の観覧料は各展覧会によって異なります。
尚、企画展の観覧券でコレクション・ギャラリーもご観覧いただけます。
※学生・教職員の方は国立美術館キャンパスメンバーズのページをご確認ください。
「明治150年展 明治の日本画と工芸」
2018年3月20日(火)~ 5月20日(日)
当日 団体(20名以上) 夜間割引
(金/土曜 午後5時以降)
一 般 1,000円 800円 800円
大学生 500円 400円 400円
※ 高校生・18歳未満は無料。
※本料金でコレクション展もご覧いただけます。