王子動物園（阪急王子公園駅）より南側、阪急神戸線のガードをくぐり幹線道路から一本入った静かな通りに「まるも珈琲店」という看板を見つけた。どこか昭和を思わせる看板の字体にひかれ、ガラス窓から中をのぞいてみると山積みにされたアート系の雑誌が目に入る。




　 直角に配したカウンター越しにはたくさんのコーヒーカップ。カフェコーディネーターでオーナーの今井さんが各地でコレクションしたもので大倉陶園、備前、清水の瑞祥、萩、伊万里のカップが整然と並ぶ。お客様のカップはどのように選ぶのかお聞きすると、「常連の方には毎日ちがうカップをお出しするようにしています。」とのこと。



　お店のコンセプトは「本を読みながらゆっくりコーヒーを飲む場所」。本棚には単行本や今井さんご自身がいま興味をもたれている趣味の本、山登り、インテリア、建築関係の本が。お一人でいらっしゃる方も多く、神戸大の学生さんなどご自分の本を持ち込んでゆったりとした時間を過ごされているそうだ。





　「炭火焙煎のあくまでも珈琲屋です。」とおっしゃるが、自家製チーズケーキや、夜カフェではワンプレート（５品/コーヒーもしくはワイン　￥１２００）のメニューもある。店内の音楽はジャズとクラシック、ほどよいパーソナルスペースが保たれつい長居したくなる空間だ。常連の学生さんたちが卒業後もふと訪れたくなる場所にちがいない。