さくらねこって知ってる?


北摂で野良猫を救う活動をしている女性がいる。
彼女の名は沢田裕美さん(仮名)と言い、地元では有名な猫の達人だ。
猫のことで困ったことがあると彼女に直接連絡する人もいるくらい猫に詳しい。
では彼女はどのようにして猫を救っているのか。
その話をするにはまず「さくらねこ」と「TNR」について触れなければならない。

「さくらねこ」という猫を見たことがあるだろうか。
新しい猫の種類やさくらという名前の猫ではない。
外で見かける野良猫の耳をよく見てみよう。耳先がさくらの花びらになっている猫がいる。
この猫のことをさくらねこという。

さくらねこの耳は生まれつきさくらの形をしているわけではない。
実はこの耳は猫が愛されているしるしであり、猫を想う人間の愛情のしるしなのだ。

日本では年間十数万頭の猫が殺処分されている。
猫の繁殖能力はとても高い。早い猫は4ヶ月で発情し、半年で出産する。そして1度で4~6匹出産する上、1年で3回も出産することができる。とくに野良猫は家猫とは違い、手術もされていないため、どんどん増える。そしてどんどん殺されているのだ。
何の罪もない猫たちが、生まれただけで殺される。
そんな不幸な猫を増やさないために生まれたのが「さくらねこ」である。

さくらねこは「TNR」というボランティアさんたちの活動により生まれている。
沢田さんはこのTNR活動を10年近く行っているベテランのボランティアで、北摂の猫のTNR活動を積極的に行っている。
TNRとは「Trap(トラップ)、Neuter(ニューター)、Retern(リターン)」の略称で、野良猫を保護して手術して元の場所へ返す活動である。

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捕獲器を使用して野良猫を保護する

そして不妊手術時に、手術の目印として耳をV字にカットする。こうしてさくらの花びらのような耳になる。さくらねこの誕生だ。

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手術済の猫はさくらの花びらのような耳をしている

カットする際は全身麻酔にかけられているため、猫に痛みはない。
何より耳は大事な目印になる。この目印がないと、何度も捕獲され、手術を行ってしまう恐れがあるからだ。そのため誰が見てもわかる目印が必要となるのだ。
こうして無事手術を終えた猫たちは元の場所へ返される。
この活動は猫たちの殺処分を減らすという目的もあるが、さくらねことなった猫たちが、この場所で末永く愛されるための活動でもある。

沢田さんはほぼ毎日、自宅付近のパトロールをしている。
せめてこのエリアにいる猫だけでも、この代だけで愛される猫にしたい。
そういった思いで日々TNR活動を行っている。

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パトロール中の沢田さん

沢田さんにこの活動に関する思いを伺った。

私がTNRに目覚めたのは、自分が猫を飼ってから、 不幸に産み続ける野良猫が気になって。
全部は救って上げられないけど、せめて不妊手術をしたら、増える事を防いで一代限りで一生を終えるようにしたいと思いました。
これ以上不幸な仔猫が生まれないようにという思いからです。
よく不妊手術が可哀想と言われる方が居ますが、手術をしない事の方が生理的に猫ちゃんの負担になるんです。
臭いマーキングや、脱走、失踪が防げます。
完全室内飼い等守れないなら買ったり、貰ったりしない事、そんな方にはあげない事。たとえ拾って飼えなくてもしっかりした里親さんを探す事。
そして手術をしないで餌やりだけする方は、自分がやらなくても誰かがやり続ける、不幸な猫はエンドレスに増え続けると言う事を理解してください。
自分が不幸な猫を増やし続けていると言う自覚を持ってください。
捕まえられない等は獣医さんやNPO法人に捕獲器を借りれば捕まえることは可能です。
動物を飼うと言う事は終生責任を持つと言う事です。
お金も掛かります。無責任に飼うものではありません。
ただ飼うのであれば、手術をし、最後まで愛情を注いであげてください。

さくらねこは今もなおボランティアさんたちによって生まれ続けている。
沢田さんのような愛情のあるボランティアさんたちの手により不幸な猫が少しずつ減っている。
さくらねこを見かけたら、やさしく見守ってほしい。この代限りで愛されるために、そこにいるのだから。
罪もない猫が殺処分されている限り、沢田さんの活動は続く。


この記事を書いた人:

ゆきんこ
ライターのゆきんこです。大阪編集教室で編集技術やライティングのノウハウを学び、卒業後ライターをぼちぼちしております。システム系に強く、動物ネタを好んでライティングします。お手やわらかによろしくお願いします。
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