
神戸市東灘区には,時々,携帯電話のカメラを向ける人でにぎわう川がある。
天上川である。
カメラのレンズの先には,川辺でごろんと横たわって見物人がいようと
お構いなしに寝ているイノシシたちがいる。
「近所の住宅地に山から来ているイノシシがいるんですよ」,と記者が学生時代の授業で神戸から毎月教えに来ていた先生が話していたのを思い出した。
関東地方に住んでいたその頃は,川に猫がいるぐらいのレベルで気にも留めず,そのまま忘れていたが,六甲山周辺に出かけると「イノシシ注意」の看板を多く見かけるくらい,イノシシと人との距離が近いことに気がついた。
以来,天上川を通る時は川にイノシシが何頭いるかを確認してしまう。
記者が子どもと数えた中は,9頭が最高だった。
イノシシの親子がウリ坊たちをはさんで寝ているところがみられれば,大興奮して携帯電話のカメラに納めて,友人たちにSNSで報告してしまうほどだ。
とはいえ,やはり住宅地の川にイノシシがいるのは,珍しいのだろう。
川をのぞいて「いた!」と嬉しそうに語り合う親子やカップル,ひとり静かにイノシシを見守る人で,天上川はいつも熱いスポットとなっている。