
堀文子氏は今年御年96歳
そして尚、その筆先は革新し続ける。
(上記の作品は《月と猫》 1950年頃 個人蔵 )
これほどまで、一人の画家で、様々なジャンルを描ける人がいるだろうか。
その作品ごとに彼女は生まれ変わった別人のように描く。
「絵を描くときは常に自分と果たし合いをしているようなものです」
この言葉は今まで積み上げてきたものを白紙に戻す潔さと真摯な生き方を指している。
彼女の経歴とともに私が感銘をうけた絵を厳選してご案内したい。
1918年生まれの文子氏は両親の反対を押し切り
女子美術専門学校(現・女子美術大学)に入学。
在学中に数々入選を果たすが、さらなる自由を求め、
日本画で権威ある官展から距離をおくようになる。

《高原》 1952年 中央大学蔵
同じ人かと思うほどやわらかなタッチ

1956年《ビップとちょうちょう》(「こどものとも」1号) 宮城県美術館蔵
43歳、約3年 欧米を旅行し、特にメキシコには強い感銘を受ける。
仮面と老婆 腐らせないため半殺しの鶏の足をくくり、市場で売る老婆。
背後の色鮮やかな布とのコントラストに雷に打たれたような衝撃をうけた。

1966年《仮面と老婆》 個人蔵
この色鮮やかなブルーは文子氏ならではのもの。

2001年《幻の花 ブルーポピー》 個人蔵

2003年《アフガンの王女》 2003年 個人蔵
「一所不住」これは安住による感性が鈍ることをさけてきた彼女そのもの生き方。
根っから東京人でありながら、大磯、軽井沢へそして68歳にてイタリアに移住する。

1988年《冬野の詩》 第15回創画展 個人蔵

1990年《トスカーナの花野》 個人蔵
面白かったのは、日本画会の旧態依然を忌み嫌い西洋画に傾倒していた文子氏が、
後年日本画の良さに開眼してきたことだ。
その後も岩絵や甲骨文などをモデルにした絵を描く。
近年大磯に自宅をかまえ最新作を次々と発表。
96歳現役の画伯ーその旅路が私たちに感銘を与えてくれる。ぜひお見逃しなく!


- 兵庫県立美術館
- <ヒョウゴケンリツビジュツカン>
- 神戸市中央区脇浜海岸通1丁目1番1号
- TEL:078(262)0901
- HP:http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1504/index.html
開館時間 | 開館時間:午前10時~午後6時 ※(金・土曜日は午後8時まで)入場は閉館30分前まで 観覧料金 当日団体割引あり(20名以上) 一 般 1,300円 大学生 900円 高校生・65歳以上 650円 中学生以下 無料 ※障がいのある方とその介護の方1名は各当日料金の半額。 (65歳以上を除く) |
---|---|
定休日 | 休館日:月曜日 |
アクセス | 阪神電鉄「岩屋」 (兵庫県立美術館前)徒歩8分 JR「灘」 徒歩10分 阪急電鉄「王子公園」 徒歩20分 |
駐車場 | 有(80台) |