ダリ展 今ある世界は本当か?京都市美術館 9月4日(日)まで


ダリ・・この2文字で、まず脳裡に浮かぶのは、歪んだ時計、細長い足のゾウだろう。ピンとしたひげがドレードマーク。奇想天外で、破天荒に生きた鬼才画家。

8 ダリの写真

© X. Miserachs/Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres, 2016.
Image Rights of Salvador Dalí reserved.
Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres, 2016.


しかし実際にその絵をみると、彼の物に対する異常なほどの情熱がわかる。物のちょっとした曲線でさえ幾層もの極細のタッチで描く。初期作品では、粗末なキャンパスの布の端々でも細胞の一つ一つを埋め込むようになぞっている。もはやモノの気持ちになってというより、彼がそのモノになり、息をしている。

そもそも物というのは、誰が決めたのであろうか。先達の人間が自分たちが便利に都合よく規定して、それを私たちが鵜呑みにしているだけに過ぎない。本当にその物は、そのモノなのか。ダリが永い間人気が保たれているのは、我々奥底に潜む疑問に応えてくれるからだろう。抜群の説得力は光と影の鮮やかさ。この押し迫ってくる明るさはなんだろう。

1 《謎めいた要素のある風景》

サルバドール・ダリ《謎めいた要素のある風景》1934 年、72.8×59.5cm、
板に油彩、ガラ=サルバドー ル・ダリ財団蔵
Collection of the Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.



例えば、楽器。奏でる時は演奏者が注目されるが、では楽器たちには顔がないのか。時計・・未来永劫変わらず、同じ”時”で刻み続けるものだろうか。過去の重みが増し、時自身、意志をもって動いてくるのも不思議ではない。

2 《奇妙なものたち》

サルバドール・ダリ《奇妙なものたち》1935年頃、40.5×50.0 cm、板に油彩、
コラージュ、ガラ=サルバ ドール・ダリ財団蔵
Collection of the Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.



5 《炸裂する柔らかい時計》

サルバドール・ダリ《炸裂する柔らかい時計》1954年、12.7×17.1cm
紙にインク、鉛筆、サルバドール・ ダリ美術館蔵
Collection of the Salvador Dalí Museum, St. Petersburg, Florida Worldwide rights:
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.
In the USA: ©Salvador Dalí Museum Inc. St. Petersburg, Florida, 2016.



後半の作品につれ、胸騒ぎが益々増してくる。展示期間中はダリが協力した映画も上映。‘シュール‘の言葉がよきる。夢と現実の境それは自分が決めたに過ぎない。みにくいものにこそ、美しさがあるのかもしれない。またその反対もありうる。生と死以外は自分が限定し、自由に描いていくものだ。それが世界というものだろう。

3 《子ども、女への壮大な記念碑》

サルバドール・ダリ《子ども、女への壮大な記念碑》1929 年、140.0×81.0cm、
カンヴァスに油彩、コラー ジュ、国立ソフィア王妃芸術センター蔵
Collection of the Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía, Madrid
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.


9月4日まで開催。このまま僅かな天才たちだけに絶好の機会を委ねていいのだろうか。大いなる凡人にも天才になれるこのチャンスをつかんでほしい。

京都市美術館
<キョウトシビジュツカン>
京都市左京区岡崎円勝寺町124(岡崎公園内)
TEL:075-771-4334
HP:http://www2.city.kyoto.lg.jp/bunshi/kmma/
開館時間 AM 9:00〜PM 5:00
(ただし入場はPM 4:30まで)
定休日 月曜日(祝日の場合は開館)及び年末年始(12月28日〜1月2日)
アクセス ※JR・近鉄をご利用の方

JR「京都」駅北側の市バスターミナル、A1乗り場から5系統岩倉行きにて約30分、又はD1乗り場から100系統銀閣寺行き(急行)にて約25分、「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ
地下鉄烏丸線「京都」駅より「烏丸御池」駅乗り換え、地下鉄東西線「東山」駅下車徒歩10分
JRにて滋賀県方面から在来線でいらっしゃる場合は、JR「山科」駅にて地下鉄東西線に乗り換え、「東山」駅下車が便利です。

※阪急電車をご利用の方

阪急「河原町」駅下車、「四条河原町」バス停から 市バス5系統岩倉行き、又は32系統銀閣寺行き、又は46系統平安神宮行きにて、いずれも約10分、「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ
阪急「河原町」駅中央改札を出て、6番出口から地上に上がっていただければ、左手すぐが46系統の止まるバス停です。

※京阪電車をご利用の方

京阪「三条」駅下車、「三条京阪前」バス停から 市バス5系統岩倉行きにて約5分、又は京阪「祇園四条」駅下車、「四条京阪前」バス停から 市バス46系統平安神宮行きにて約10分、「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車すぐ
駐車場
入場料金 大人1600円(1400)高大生1100円(900)小中生600円(400)
()は団体20名以上の団体料金
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この記事を書いた人:

ニッキ
北摂に住んで10年 マラソンをはじめて6年目。 去年は淀川マラソン一昨年は大阪マラソン完走! 万博公園や箕面の滝まで走り体力自慢のアラフィフです!
http://news.archive.citylife-new.com/life/41885.html